浄化槽維持管理の流れ
浄化槽は生き物です。そのため定期的なメンテナンスを行います。
浄化槽保守点検
浄化槽は生きた微生物が活躍するとてもデリケートな装置です。浄化槽が正しく機能するためには定期的なメンテナンスが必要です。
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- 1 浄化槽周囲の確認
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浄化槽の周辺で異常な臭気、騒音および振動がしていないか、浄化槽上部スラブの破損や浄化槽周辺の地面に異常がないかを確認します。
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- 2 流入・放流配管の確認
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雨水や土砂が流入しないように流入管、放流管およびインバート升を確認します。汚物等の堆積、付着や木の根の侵入がある場合は清掃および除去を行います。
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- 3 浄化槽内部の確認
- マンホール蓋、浄化槽本体および各部に変形や破損がないか確認後、漏水の有無や水平を確認します。
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- 4 害虫発生状況の確認
- 蚊やホシチョウバエ等の異常発生がないかを確認します。
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- 5 採水・水質測定
- 各槽ごとに透明度、水温、pH、DO及び消毒後の残留塩素濃度等の水質測定を行い、浄化槽の処理状況を確認します。
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- 6 スカム厚・蓄積汚泥の測定
- スカム厚、堆積汚泥を測定し、結果に基づいて清掃作業が必要かを判断します。
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- 7消毒剤の確認
- 沈殿槽からの越流水が消毒筒底部を通過し、消毒剤に接触しているか、または消毒剤が過剰に溶けていないかを確認します。この時、薬剤筒の劣化や破損等の状況も同時に確認します。
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- 8 移送管の清掃
- エアーリフトポンプが正常に作動しているか確認します。
移送管内が汚泥や異物等で閉塞している場合は、ブラシや水道水等での洗浄や空気供給量の調節で閉塞を解消します。
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- 9 移送量の測定
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循環水量を移送管流出部で測定します。
浄化槽の処理機能および窒素除去効果を低下させないため、使用状況、処理水質、浄化槽の型式ごとの基準をもとに循環水量を調節します。
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- 10 バルブの確認
- 流量調整用エアーリフトポンプ、ばっ気汚泥貯留槽や散気管への空気量を確認し、エアーバルブの調整を行います。
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- 11 ブロワの確認
- 異常な音、振動や風量(排出量)を確認し、手動で逆洗を行い、切り替えがスムーズに行えるかを確認します。
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- 12 エアーフィルターの確認
- エアーフィルターおよび空気吸い込み口を清掃します。フィルターに劣化や変形等がある場合は交換します。
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- 13 作業完了
- 器具や機材を洗浄後に片付け、浄化槽のマンホール蓋や流入・放流管渠のインバート升の蓋がしまっているか確認します。
全行程終了後、浄化槽管理者に記録票を渡し、作業の終了を報告します。
浄化槽清掃
一般的な浄化槽の清掃作業として構造例示型嫌気ろ床接触ばっ気方式の清掃状況です。
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- 1 事前確認
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- 浄化槽周辺を十分確認し、マンホールをあけます。
清掃作業に入る前に流入管、放流管、移流バッフル等に付着物がないか確認します。 - 接触ばっ気槽の浮遊物や沈殿槽のスカム、汚泥を嫌気ろ床槽第1室へ移送し、必要に応じて逆洗します。
- 浄化槽周辺を十分確認し、マンホールをあけます。
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- 2 嫌気ろ床槽第1室の清掃
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- 嫌気ろ床槽第1層から引抜きを行っていきます。
- まず、槽内にホースを入れ、スカムとろ床上部に堆積した汚泥を引き抜きます。
- 次に、清掃口から槽の底にホースを入れ、堆積した汚泥を引き抜きます。
- 最後に、ろ床の上部から圧力水をかけ、ろ床内部の汚泥を可能な限り槽の底に落としてから引き抜きます。この際、槽内に油脂などが付着している場合は、圧力水やブラシで除去します。
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- 3 嫌気ろ床槽第2室の清掃
- 以下の状況が認められた場合は清掃を行う必要があります。
清掃作業の手順は嫌気ろ床槽第1層と同じです。- 第2室以降で、流出水の透明度が前回に測定した数値よりも著しく低下しているか、流出水中に粗大な固形物があるとき
- 第2室のろ床内の汚泥の堆積量が著しく多く、かつ槽内の水位が著しく上昇あるいは上昇した跡が確認できたとき
- 第2室内にスカムの発生が認められ、かつ保守点検作業でその堆積汚泥を第1室へ容易に移送できないとき
- 第2室の底に汚泥の堆積があり、かつ保守点検作業で堆積した汚泥を第1室へ容易に移送できないとき
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- 4 接触ばっ気槽の清掃
- 接触ばっ気槽内の汚泥を適正量引抜きます。
散気装置、接触剤、支持枠などの付着物を除去し、清掃します。
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- 5 沈殿槽の清掃
- スカムや越流ぜき等の付着物を除去します。
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- 6 消毒槽の清掃
- 沈殿物を引き出し、槽の壁を洗浄します。また、策剤筒を清掃し、取付位置に戻します。
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- 7 水張り
- 各槽の引抜き後、浄化槽に破損等がないか確認し、既定水位まで水を張ります。
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- 8 作業完了
- 通常運転状態に戻っているか確認後、マンホールの締め忘れや周囲の安全を確認します。